人の生活においてカビはいつも身近なものです。目に見えるようになるまでは時間がかかりますが、私たちが吸っている空気中にも少なからず存在しています。
1立方メートルあたりに数個~数千個のカビ胞子が浮遊していますし、ホコリ1gの中にはカビ10万~100万個のカビが見つかります。ですので気をつけていてもいつの間にか、どこかに生えてしまいます。
大量にカビが繁殖してくると健康被害も出てきますのでしっかり対策しましょう。カビによる病気について知りたい方は「カビアレルギーの症状と集団発症の事例」をご覧ください。
カビによる病気はアレルギーだけではありませんが、健康な方でも発症する可能性があるのでどなたも無関係ではない病気です。一読をおすすめします。
カビはどうやっても取れないことがある
たがだかカビ汚れ、取る方法は何かしらあるだろうとは思っていないでしょうか。たしかにカビの殺菌ならほとんど可能でしょうが、どんなに頑張っても色が残ってしまうことはあることをまず知って下さい。
これはなぜかというと、カビ自体は死滅しているものの、カビが生成した色素が残ってしまうのです。多くの場合は黒カビが問題となります。
菌糸はエタノールや漂白剤でなくせても根っこにできた色素が沈着してしまいます。この色素は強い漂白剤を使っても分解できないケースがあるのです。
衣類では捨てることも考えなければなりませんが、風呂場のタイル目地やゴムパッキンなどの建材ならカビ汚れ(色素)の残っている部分を削り取って「カビ対策グッズ お風呂場編」で紹介しているような補てん材で補修するという解決法はあります。
カビ取り剤の多くは同じ成分
取れないカビ汚れがあるからといって、より強力なカビ取り剤を探すのはおそらく労力と時間の無駄になります。これは市販されているカビ取り剤の多くが次亜塩素酸ナトリウムという成分を有効成分として使っているからです。
アルカリ剤である水酸化ナトリウムなどの配合比率を変えていたり、粘着性を増すことによって薬液がその場に長く留まるようにして実質的な効果を上げているものがほとんどです。
ある程度ご自分でカビ取りを実践してみて、それでも取れない場合は諦めることも考えたほうがいいです。安い服や小物なら買い替えをしたほうがスッキリすることもありますし、床下などの建材に被害が出た場合は広がらないうちに業者に頼むほうが無難でしょう。
そのうえで次からはカビさせないように予防策をしっかりととりましょう。
カビ対策の基本は湿度と温度と栄養源
カビ対策で頭に入れておくべきことは湿度、温度、栄養となるものがないかの3点です。これ以外に酸素という要素もあるのですが、普段の生活で酸素を制御することは難しく一般的ではないのでここでは取り上げません。
湿度はできるだけ下げるほうがいい
カビ対策にいいとされる湿度は60%以下であり、50%にまで下がるとかなり繁殖しづらい環境となります。低いほどカビの成長は遅くなりますが、リビングなど長時間過ごす場所は乾燥すると人に弊害が出てきます。
のどの粘膜が傷付きやすい状態となってウイルスや細菌に感染するリスクが高まります。美容に気を使っている人には肌の乾燥も気になりますね。
肌の保湿にいい湿度とされるのが65%~75%です。あまり使わない物置などは50%くらいまで下げていいのですが、リビングや寝室は70%くらいの湿度がちょうどだと言えるでしょう。ただし比較的カビが繁殖しやすいので適度な掃除は欠かせません。
盲点になりやすいのが物の表面につく水滴です。部屋の湿度ばかりに気をつけていても、結露などで水滴がついては意味がありません。例えば冬場の窓の桟です。温かい空気と外の冷気で結露水ができて、下に垂れて溜まります。それが原因で窓のゴムパッキンに生えてしまうということもあります。
カビにとって最適な温度
温度が高ければ高いほど成長スピードが速そうですが、カビにとって良好な生育温度は20~30℃で、最適な温度は25~28℃です。これより高いと徐々に成長は遅くなり、36℃までになるとほとんど発生しません。
温度が低くてもカビの成長は遅くなるので、食品をはじめカビさせたくないものは低温保存するといいでしょう。
エアコンに関してですが、夏場の冷房は電力消費の面などで28℃設定が推奨されています。これはカビにとって最適な温度です。この状態で湿度が高いとかなりカビが生えるリスクが高くなるので、湿度は低くなるように気をつけしましょう。
エアコンには除湿機能があるのでそれさえ動かしておけば大丈夫と安心されている方もいるでしょうが、見落としがちなのが家具の裏です。エアコンの空気交換が家具と壁の狭い隙間まで届かなかったり、家具の裏で蒸気を発生するような設備や器具があると知らない間にカビが生えてしまうこともあります。
エアコンはカビやすい家電です。スイッチを切った状態で吹き出し口の裏を確認してみてください。黒い物が点々と見えてはいないでしょうか。あるいはフィルターの奥の銀のアルミ板が黒くなってないでしょうか。黒いものが見えたとしたら、それはカビがエアコンの中で繁殖しているしるしです。
放っておけばカビを大量に吸い込んでアレルギーなどを発症することもあります。ただ、エアコンは掃除が難しい家電なので「カビ対策グッズ エアコン編」で紹介しているようなものを使うか業者に頼んで掃除しましょう。
カビの栄養となるものは除去する
カビは人から出た垢やホコリが大好物です。これらのものがあり、湿度と温度も高いとなると爆発的なスピードで成長してしまいます。
また、カビは種類が多く、餌とできる物もかなり多いです。衣類、木材、石鹸カス、壁紙の接着剤、塗料など様々なものを栄養源とします。
これらの物を全て片づけるなんてことはできませんが、無駄・余計なものをできるだけ取り去ることでカビの成長をかなり阻止することができます。
まとめ
- どうしても取れないカビ汚れはある
- 多くの市販されているカビ取り剤の有効成分は同じ
- 気をつけることは湿度、温度、カビにとっての栄養源の3点。