よく夏風邪と間違われる病気に過敏性肺炎というものがあります。症状が風邪に似ていて、軽いうちの診断では見落とされることもしばしば。放置している内に悪化し、緊急入院というケースも実際に起こっているようです。
過敏性肺炎とはどんな病気
過敏性肺炎は細菌、ウイルスによる感染症ではなく、主にカビを大量に吸い込むことによって起こるアレルギー反応です。原因菌はトリコスポロンやオーレオバシディウムというエアコンに発生しやすいカビです。
この病気には以下のような細かい分類があります。
- 夏型過敏性肺炎
- 換気装置肺炎
- 鳥飼病
- 職業性肺炎
この中で一番多いのが夏型過敏性肺炎で、台所や浴室に発生するカビが原因となることが多いです。換気装置肺炎というのはエアコンや加湿器が原因となる場合を総称しています。
鳥飼病は鳥のフンに含まれるたんぱく質が原因と見られていて、クリプトコッカス症とは別物です。職業性肺炎というのは職場に存在するアレルゲンによるもので、人によって原因となるカビは違います。よく知られているのは、干し草の中にひそむ好熱性放線菌によるもので、農業従事者がかかります。
症状と風邪との違い、見分け方
熱、咳と症状が風邪に似ているのが厄介です。特に症状が軽いうちは風邪と診断されがちです。夏になると症状が出てくる、旅行など長期外出すると治まる、特定の場所にいると症状が出てくるという場合は過敏性肺炎を疑うべきです。
過敏性肺炎は重症化すると呼吸困難となりとても危険です。
なかなか診断が難しい病気ですが、抗トリコスポロン・アサヒ抗体検査を受けると夏型過敏性肺炎かどうかがほぼ分かります。検査にかかる費用は保険適用の3割負担で4000円前後です。
治療法はアレルゲンの除去・回避が第一
薬を用いる場合はステロイドが処方されることが多いですが、第一にアレルゲンの除去や回避が求められます。具体的にはアレルゲンがあると思われる箇所の掃除、殺菌です。
職場に問題となるカビが大量にあり、それがどうしても除去できない場合は配置換え、転職なども考えなければいけません。その仕事を続けていきたいという人は、マスクの着用などで極力アレルゲンが身体に入らないようにすることで対処できることもあります。その場合はアレルギー反応が悪化していないか、定期的に検査が必要となるでしょう。
診断の際に気をつけること
こういった病気はアレルゲンの種類と発生場所が特定されることが重要です。職場に行くと症状が出てくるとか、エアコンをつけると咳き込んでしまうなど、疑わしいと思うものがあれば問診のときに医師に伝えましょう。
風邪と違いウイルス性ではないのでうつることはありませんので、まわりに人がいてもアレルゲンがない場所でマスクを付ける必要はありません。