お酢はNG畳のカビ取りに使う薬剤と畳買い替えのポイント

畳は環境によっては水をよく取り込み、カビやすくなります。ここでは畳のカビ取り方法と予防法、買い替えの時に気をつけるポイントなどを説明します。

エタノールを使う畳のカビ取り

畳
作業はよく晴れた日を選び、窓を開けて部屋を通気させるか、屋外でして下さい。赤ちゃんや小さなお子さんがいる場合は、他の部屋へ移して下さい。

準備するもの

  • 70~80%エタノール
  • 乾いた雑巾
  • 掃除機
  • ブラシ(歯ブラシでもOK)

殺菌する場合、エタノールは70~80%の濃度で一番効果を発揮します。無水エタノールをお持ちの場合は、無水エタノール4に水1を加えるとちょうどいい濃度になります。

手順

乾いた雑巾にエタノールを染み込ませ、それでカビを湿らせるように当てていきます。スプレーできるタイプであれば、カビの胞子が飛ばないように上に向けてスプレーして、落ちてくる分で畳を湿らてもOKです。

十分行き渡ったらブラシでこすり、カビが取れやすい状態にします。次に、掃除機で吸い込んでいきます。吸い込む強さを調整できるタイプの物なら、弱~中程度にして排気にカビが出ないようにします。掃除機は下の図のように、畳の目にそってかけて下さい。

畳に掃除機をかける方向

これでまだ残っているようなら、またエタノール、ブラシ、掃除機を繰り返します。最後に乾いた雑巾をかけ、それでも水分が残っているようならドライヤーをかけて終わりです。

揮発したアルコール分や飛び散ったカビの胞子が残っているかもしれませんから、10分ほど換気しておくといいでしょう。

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エタノールを使う理由

漂白剤やお酢をよく使う人もいるようですが、畳のカビ取りに関してはエタノールが一番適しています。

色落ちしない

エタノールはカビに対して殺菌作用がありますが、中性で活性酸素も出ないので畳を漂白しません。色が落ちないのですから、あまり量を気にせず使えます。これが漂白剤を使うとなると、濃度を調整するところから始まり、放置しておく時間と後処理まで考えるので大変です。

すぐに乾く

ほとんどのカビ取り剤は洗い流す必要がありますが、エタノールはすぐに空気中に飛んでいってくれます。そのため、後処理が不十分で薬剤が残るということがありません。

畳のカビが奥の方まで根を広げていたとしても、後処理を気にしなくていいので、染みこむようにかけて奥の方まで殺菌することができます。あとはドライヤーをかけて乾きをもっと早くしてやれば問題ありません。

漂白剤を奥の方まで染み込ませてしまうと、すぐには成分が飛んでいってくれないのでこういった方法は取れません。

畳にお酢を使うのはよくない


畳をお酢で拭き上げるという方法をよく見ますが、あれには疑問があります。たしかにお酢の主成分は酢酸で、それがカビなどの微生物を殺菌する効果を持っています。ですが、エタノールなどとは違って、純粋に効果成分だけがあるわけではないことに問題があります。

お酢には酢酸以外に炭水化物やアミノ酸等があります。これらは揮発しないので、お酢で拭き上げた後に残ります。これではわざわざカビに餌をやっているようなものです。なので、畳にお酢を使うことはおすすめできません。

エタノールで取れない分に塩素系漂白剤を使う

酸素系ではなく塩素系を使う理由

エタノールには漂白作用がないので、こすって取れない分は漂白剤を使って落とします。使うタイプは塩素系です。酸素系漂白剤も効果はありますが、じわじわ効いてくるので放置時間をどの程度にするといいのか分かりづらい欠点があります。放置時間が長すぎて畳が色落ちするという事になりかねません。

塩素系のほうが強い漂白効果があるのですが、カビに対して反応が早いので、数分~十分程度で処理できます。この程度の時間だと、カビ汚れが消えていくのをその場で待つことができます。大丈夫だと思ったところで薬剤を除去すれば畳が色落ちするリスクも低くなります。

準備するもの

  • 塩素系漂白剤
  • バケツなどの容器
  • 雑巾2枚
  • ゴム手袋
  • ドライヤー

塩素系漂白剤は次亜塩素酸ナトリウム6%で液体タイプのものを使います。ハイターなどが手に入りやすいでしょう。

手順

まず、エタノールを使った直後なら、成分が飛ぶまで待って下さい。これも換気をしながらか、屋外でして下さい。

塩素系漂白剤を1000分の1程度に薄めます。雑巾などにそれを染み込ませ、できるだけカビだけを濡らすように当てて放置します。カビ汚れが気にならないほど消えたところで、水で絞った雑巾(2枚目の雑巾)で拭いて薬剤を取り除いていきます。そのままでは畳が湿ったままなので、ドライヤーで乾かして完了です。

放置時間10分程度でカビ汚れが消えていかない時は、漂白剤の濃度を上げます。

畳にカビを生えさせない予防方法

換気・除湿をする

畳は湿気を吸ったり放出したりと、調湿機能があります。そのため、部屋の湿度が高いとどんどん水を吸うので、カビにとって快適な環境になってしまいます。これを防ぐためには適度な換気や除湿機を回すことが必要です。

特に畳を新調して1年は水分を含みやすく、カビが生えやすい時期なので気をつけて下さい。エアコンで除湿をする場合は、まずエアコン自体がカビていないか確認して下さい。送風口の奥にあるファン(ローラーのように回るところ)を指でこすってみて、指が黒くなったら要注意です。

絨毯のような敷物をしない

畳の上に絨毯を敷いてしまうと湿気がこもってしまい、カビはもちろんダニが繁殖しやすくなります。敷物をするなら、ござなどの通気性のいい物がおすすめです。花ござならデザインもおしゃれなものがたくさんあります。どうしても絨毯を敷くのなら、こまめに掃除をしたうえで、使わない時は絨毯を上げておくといいでしょう。

複数の成分がある薬剤は畳には使わないほうがいい

商品名がついたようなカビとり剤は、有効成分以外にもいろいろと混ぜ物があります。例えば多くの商品で使われている界面活性剤です。

カビを殺菌している最中は、この成分も役立ってくれます。ですが、その後に残ってしまいカビの餌となる可能性があります。特に畳は目地が細かいので、全部洗い落とすのは難しいですよね。界面活性剤の中でも非イオン界面活性剤が、ある種類のカビの栄養源になることが知られています。このカビは洗濯槽に生えることが多く、増えると黒くなります。

陰イオン界面活性剤を栄養にできるカビはまだ発見されていないようですが、もしかしたらその内に出てくるかもしれません。そうでなくても商品の成分表にはただ単に界面活性剤と書かれていることがほとんどなので、買う側にはどちらが入っているのか分かりません。

界面活性剤以外にも防サビ剤など色々と入っていたりしますが、それらもカビの餌になるかもしれません。そういった意味でもエタノールをまず使ってみることをおすすめします。

ちなみにキッチンハイターにも界面活性剤は使われていますが、これには陰イオンのほうが入っています。

キッチンハイターの成分情報
2016年4月9日現在のキッチンハイターの成分情報です。(花王公式サイトより抜粋)

畳を新調するときに気をつけるポイント

どんなに頑張っても、カビが落ちないこともあります。そうなると新しい畳を買うことを考えますよね。そのときに気をつけることがあります。

畳表を張り替えるだけでいいかも

畳はワラなどの素材にい草を巻いたものです。この表面のい草を畳表と言いますが、これを張り替えるだけで済む場合があります。表替えは全部新調するよりも安くなることがあります(選ぶ素材やお店による)。

畳床は建材床にした方がいい

畳床(たたみどこ)というのは、中の素材です。ワラやポリエチレンなどが使われているのですが、大きく分けてワラ床、ワラサンドイッチ床、建材床の3つがあります。カビが生えにくいのは建材床ですので、カビ対策という面ではこれを選ぶ方がいいでしょう。

工務店や畳屋の人に相談してみる

当然ですが住む家、住む人はそれぞれです。その人、家にあった畳も違ってくるでしょう。特に一軒家に住んでいるのなら、一度専門の人に相談してみるといいでしょう。

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