実はこの白と黒のカビは同じ種類のものなんです。そして安心して下さい、特殊な疾患を持っていないかぎりは少々食べても病気にはなりません。
カビの色で種類は特定できない
先ほどの苺に生えたカビの種類は同じだと言いました。ではなぜ色が違うのかというと、カビは全体が同じ構造をしていないことと、どれだけ密集しているか違うことに理由があります。
カビはよく植物に似ていると言われます。基本的な種類では、とりついたものに根を伸ばすように菌糸を巡らせ、空気中に幹がどんどん高くなるように菌糸が成長し、その先に増殖するための胞子をつくります。なので、部位によって違う色に見えることもあるのです。どれだけ違った構造をとるのかは下の画像を見ていただければ分かります。
これらとも違う形態をしているものもあります。また、はじめは白っぽい色をしていても、よくよく見ると灰色をしているものがあります。これが増殖してくると色が重なり、黒っぽく見えます。
カビを少々食べたからといって病気になることはない
おそらくカビ毒に対して悪いイメージを持ちすぎているか、O157などの細菌と混同しているのでしょうが、カビを少し食べたくらいでは病気にはなりません。
アフラトキシンというカビ毒が発がん性を持っているのは確かです。メディアで放送もされましたし、危機感を持つのもうなずけます。ただし、このアフラトキシンという毒は慢性的には危険視されますが、急性毒としてはあんまり強くないのです。よほど大量に取り入れてしまった場合は別ですが、一回のご飯でカビが生えたものを食べてしまったという程度では気にする必要はありません。
ラットを使った実験では、体重1kg当たり17.9mgも摂取してLD50(半数が死亡する毒量)となりました。かなり汚染が進んだお米を千トン食べてようやくこの数値になりますので、実生活で問題が起きるほどカビを食べるということはありえません。
食中毒にしても細菌ほどの毒性はありませんし、感染症にしても体の免疫がかなり落ちている時に起こる日和見感染くらいです。健康な人がカビを食べたからといって病院に行く必要はないです。軽い腹痛はあるかもしれませんが、お腹を下すということもなく終わる場合がほとんどでしょう。