家庭でよく見られるカビの種類

発見されているカビは数万種もあるようですが、一般的な家庭で見られるカビの種類はある程度限定されます。

カビの命名について


カビの正式名称は2種類の単語で出来ています。例えばアスペルギルス・フラブス。これはアスペルギルスが属名であり、大ざっぱな菌の種類を表すものです。苗字みたいなものと思って下さい。

その次にフラブスとつきますが、これは氏名の名みたいなものです(正確には形容詞ですが)。この2つがあって正確にカビの種類を確定できます。なので、ただ単にアスペルギルスといっても何種類もあり、この属の中で人にとって無害なものも有害なものもあるので混乱されないようにして下さい。

では実際、どんな種類のカビが住宅で確認されるのか見ていきましょう。カッコ内は和名です。

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アスペルギルス(コウジカビ)

先程も例で上げましたが、住居でよく見つかる種類のカビです。醤油や味噌の製造などで使われるニホンコウジカビのような大変有用なものもある一方、強力な発がん性をもつアフラトキシンを作りだす種もあります。臓器、特に肺に感染したりアレルギー症状を引き起こすものもあります。

有用なものはアスペルギルス・オリゼエ(和名でこうじカビと呼ばれるもの)が、有害なものはアスペルギルス・フラブスが代表的です。

ペニシリウム(アオカビ)

これも一般家庭で多く見られる種類です。空気中に漂っているカビはアスペルギルスと併せて30%以上あるとされています。抗生物質のペニシリンはペニシリウム・クリソゲナムが産生します。ご存知のように青い色をしています。

人や動物に対して病原性を持つものはあまりないですが、カビ毒のマイコトキシンを作り出す種類があり、農作物への被害を起こします。

クラドスポリウム(クロカワカビ)

土壌、植物、空気中からも検出される分布の広いカビです。コンクリート、モルタル、シーリング材、塩ビクロス、ウレタン、アルミなど現在の人の生活に無くてはならない物を侵します。

乾燥に強く、薬剤に対する抵抗性も高いので、対策が難しい種類です。物が変敗することに加えて、加工食品の二次汚染、アレルギーを起こすことなどが知られています。

アルタナリア(ススカビ)

クラドスポリウムの近縁種と言われています。ほとんどが植物病理性で樹木や作物に寄生して枯れさせたり、黒い斑点をつけたりします(白菜などに見られるゴマ症とは別)。また、畳や家屋の木材に生えます。

ビニルクロスや塗装されたところからも見つかります。エアコンの中でも増殖しやすく、その場合には部屋の空気を汚染し、喘息などの原因になります。

フザリウム(アカカビ)

和名の通り赤い色素を持ち、コロニーは赤、黄、オレンジなどに見えます。植物や食品を汚染します。麦穂を害する赤かび病が有名で、このときにできるトリコテセンというカビ毒は食中毒を起こします。

分生子が特徴的で、細長い楕円や三日月形をしています。

ムコール

ケカビの仲間で水分をよく含んだ土壌や、野菜や果物に見られます。住居では浴室や台所回りに生えることがあります。成長が早く、水分の多い食品が一晩の内に広くカビが生えた場合、ムコールである可能性が高いです。

乾燥にはかなり弱いですが、資材の中に伸びた菌糸は手強く、薬剤にも強い耐性があったりします。

ウロクラディウム

性質はアルタナリアに似ていて、コロニーは黒褐色です。土壌や繊維質、コンクリートなどにいます。食品を腐敗させることもありますが、毒性に関しては現時点で問題はないようです。

むしろウロクラディウム・オウデマンシを利用した、灰色かび病に対する微生物殺菌剤のほうが着目されているようです。

トリコデルマ(ツチアオカビ)

セルロースを分解するセルラーゼを作り出す性質があり、成長が早いのが特徴です。色は白・淡黄・緑で、まわりに他の種類のカビがいても、生き残ることが多い強いカビです。

セルロース、つまり繊維を分解できるので紙や木材、衣類から見つかることが多いです。さらにエアコンや加湿器に繁殖することがあり、アレルゲンになりえます。
また、トリコデルマの一部にアルコールを資化(栄養源とすること)するものがあります。

ケトミウム(ケタマカビ)

これもセルロース分解性を持ち、繊維類のほか、土壌や穀物によく見られます。後述するフォーマに毛が生えたような形をしています。

カビ毒を作り出したり、アレルゲンとなる種類もいますが、紙に対する被害のほうが問題視されることが多いようです。

フォーマ

土、水、空気中、植物など広く存在しています。比較的低温でも成長できるので、冷蔵庫内で見つかることがあります。コロニーは白、黄緑、褐色に見えます。

主に植物に病害を引き起こします。硬い球形の殻を作ってその中に分生子を溜め込み、一つの穴からそれを噴き出すという特徴的な形態を取ります。

ワレミア

好乾性のカビでアレルゲンになります。昆布や乾燥した野菜のほか、チョコレートやようかん、饅頭といった糖分を多く含んだ食品に生えます。コロニーは白や赤褐色です。

比較的乾いた環境でも成長できるので広く分布しますが、成長速度は遅いです。

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